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コラム

SmartHRと給与計算ソフトを連携する方法|メリットと注意点を解説

2025.10.17

SmartHRに蓄積された従業員情報を給与計算ソフトと連携させることで、人事労務業務の効率は飛躍的に向上します。
この連携は、これまで手作業で行っていたデータ入力を自動化し、ヒューマンエラーの削減と作業時間の短縮を実現します。
本記事では、SmartHRと給与計算ソフトの具体的な連携方法から、それによって得られるメリット、そして導入前に確認しておくべき注意点までを網羅的に解説します。
自社の業務フローに最適な給与連携の形を見つけ、より正確でスムーズな給与計算業務を目指しましょう。

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

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https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

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SmartHRと給与計算ソフトの連携で人事労務業務はもっと楽になる

SmartHRと給与計算ソフトのシステム連携は、人事労務担当者の定型業務を大幅に削減します。
従業員の入社や住所変更などが発生するたびに、それぞれのシステムへ同じ情報を二重に入力する手間がなくなります。
SmartHRで更新された最新の従業員情報が自動的に給与計算ソフトへ反映されるため、常に正確なデータに基づいた給与計算が可能になります。
この仕組みにより、担当者はデータ入力や確認作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。

SmartHRと給与計算ソフトを連携させる3つのメリット

SmartHRと給与計算ソフトを連携させることには、多くのメリットがあります。
最大の利点は、手作業によるデータ入力をなくすことによる業務効率化です。
これにより、作業時間が大幅に短縮されるだけでなく、転記ミスといったヒューマンエラーを根本的に防ぐことができます。
また、従業員自身が更新した最新の情報が給与計算に直接反映されるため、業務の正確性が格段に向上します。
ここでは、これら3つの主要なメリットについて、それぞれ具体的に解説していきます。

従業員情報の二重入力をなくし作業時間を短縮できる

SmartHRと給与計算ソフトを連携させることで、従業員情報の二重入力が不要になります。
従来は、従業員の入社や異動、住所変更、扶養家族の追加といった情報更新があるたびに、人事管理システムと給与計算ソフトの両方に同じ内容を手で入力する必要がありました。
しかし、システムを連携させれば、SmartHR上で一度情報を更新するだけで、そのデータが自動的に給与計算ソフトにも反映されます。
これにより、単純な入力作業に費やしていた時間が大幅に削減され、担当者は月末月初の繁忙期でも余裕を持って他の業務に取り組むことが可能になります。

手作業による転記ミスや計算ミスを防げる

手作業によるデータ転記は、どれだけ注意深く行っても入力ミスや見落としといったヒューマンエラーが発生するリスクを伴います。
特に給与計算は金額を扱う重要な業務であり、わずかなミスが従業員からの信頼を損なう原因にもなりかねません。
SmartHRと給与計算ソフトを連携すれば、システム間でデータが直接やり取りされるため、手作業での転記プロセスそのものがなくなります。
これにより、転記ミスやそれに起因する計算ミスを根本的に防止でき、データの正確性と信頼性が向上します。
ミスの修正にかかる時間や心理的負担も軽減されるでしょう。

最新の従業員情報で給与計算業務の正確性が向上する

SmartHRでは従業員自身が情報を更新できるため、常にデータが最新の状態に保たれやすいという特徴があります。
例えば、従業員が引っ越しをして通勤手当が変わった場合や、結婚して扶養家族が増えた場合など、変更内容がSmartHRを通じて速やかに申請・承認されます。
システム連携を行っていれば、これらの最新情報が遅滞なく給与計算ソフトに反映されるため、常に正しい情報に基づいた給与計算が実現します。
勤怠データと組み合わせることで、残業代や各種手当の計算もより正確になり、給与計算業務全体の品質が向上します。

社労士 小栗の
アドバイス

従業員情報の二重入力がなくなることのメリットは、単なる作業時間の短縮にとどまりません。人事労務担当者は、給与計算期間中に毎年発生する年末調整の書類準備や、法改正への対応といった、「考えるべき」業務により多くの時間を割けるようになります。特に法令遵守が求められる労務管理において、人的ミスがゼロになるわけではないものの、定型業務から解放されることで、ミスの見逃しを防ぐための最終確認など、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。これは、業務品質の向上と、担当者のストレス軽減にもつながる重要なポイントです。

SmartHRと給与計算ソフトの主な連携方法

SmartHRと給与計算ソフトを連携させる方法には、いくつかの選択肢が存在します。
自社の利用環境やITリテラシーに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
最も効率的なのは、APIを利用してシステム同士を直接つなぎ、データを自動で同期させる方法です。
API連携に対応していないソフトでも、CSVファイルを利用して手動でデータを移行する方法があります。
SmartHRPlusのアプリを利用することで、より手軽に連携設定を完了できる場合もあります。
ここでは、これら3つの主な連携方法について解説します。

APIを利用してデータを自動で同期させる方法

API(Application Programming Interface)を利用した連携は、SmartHRと給与計算ソフト間でデータを自動的に同期させる最も効率的な方法です。
一度初期設定を完了させれば、その後は手動での操作を介さずに、従業員情報の変更などがリアルタイムに近い形で給与計算ソフトに反映されます。
例えば、SmartHRで従業員の住所変更が承認されると、その情報が自動で給与計算ソフト側にも更新されます。
このAPI連携により、データ更新の漏れやタイムラグを防ぎ、常に最新かつ正確な情報に基づいた業務が可能となります。
多くの主要な給与計算ソフトがこの連携方式に対応しています。

CSVファイルを使って手動でデータを移行する方法

API連携に対応していない給与計算ソフトを利用している場合でも、CSVファイルを用いることでデータの連携が可能です。
この方法は、まずSmartHRから必要な従業員情報をCSV形式のファイルとしてエクスポートします。
次に、そのCSVファイルを給与計算ソフトのインポート機能を使ってアップロードします。
API連携と異なり、データの更新は手動で行う必要があるため、定期的にこの作業を実施しなければなりません。
作業の手間はかかりますが、多くのソフトがCSVファイルのインポートに対応しているため、汎用性の高い連携方法といえます。

SmartHR Plusのアプリを追加して連携する方法

SmartHRPlusは、SmartHRと外部サービスとの連携を促進するアプリケーションプラットフォームです。
提携している給与計算ソフトなどの連携サービスは、SmartHRPlus上で専用のアプリとして提供されています。
利用者は、このアプリをSmartHRのアカウントに追加し、画面の指示に従って簡単な設定を行うだけで、API連携をスムーズに開始できます。
専門的な知識がなくても直感的に設定を進められる点が大きなメリットです。
利用したい給与計算ソフトがSmartHRPlusに対応しているかを確認し、対応していればこの方法を選ぶのが最も手軽でしょう。

SmartHRから給与計算ソフトへ従業員情報を取り込む手順

実際にSmartHRと給与計算ソフトを連携させる際の具体的な手順を解説します。
ここでは多くのサービスで採用されているAPI連携を例に大まかな流れを3つのステップに分けて説明します。
連携プロセスは利用する給与計算ソフトによって細部が異なりますが基本的な考え方は共通しています。
事前に両方のシステムのマニュアルを確認しながら進めることでスムーズに設定を完了させることができます。
これから紹介するステップを参考に連携作業の全体像を把握しましょう。

ステップ1:給与計算ソフト側で連携のための初期設定を行う

まず、連携先となる給与計算ソフトの管理画面にログインし、SmartHRとの連携を有効にするための初期設定を行います。
多くのソフトでは、「外部連携」や「連携設定」といったメニューが用意されています。
そこで「SmartHR」を選択し、連携を開始するための設定画面を開きます。
この段階では、どのデータを連携するかの選択や、連携の基本設定を行う場合があります。
具体的な操作方法は給与計算ソフトによって異なるため、必ず公式のヘルプページやマニュアルを参照してください。
ここでの設定が、次のステップでSmartHRと接続するための準備となります。

ステップ2:SmartHRでAPI連携に必要なアクセストークンを発行する

次にSmartHRの管理画面で給与計算ソフトとの安全なデータ連携に必要となる「アクセストークン」を発行します。
アクセストークンはシステム間の接続を許可するための鍵のような役割を果たします。
SmartHRのメニューから「アプリケーション連携」などを選択し連携したい給与計算ソフトのアプリケーション詳細画面を開きます。
そこで「アクセストークンを発行」ボタンをクリックすると英数字の羅列からなる一意のトークンが生成されます。
このトークンは外部に漏洩しないよう厳重に管理する必要があります。
発行されたトークンは次のステップで使用するためコピーしておきましょう。

ステップ3:給与計算ソフトに発行した情報を登録して連携を完了させる

最後のステップとして、ステップ1で開いた給与計算ソフトの設定画面に戻り、ステップ2でSmartHRから発行・コピーしたアクセストークンを所定の入力欄に貼り付けます。
トークンを正確に入力し、設定を保存することで、SmartHRと給与計算ソフト間の接続が確立されます。
これにより、API連携の設定は完了です。
設定完了後は、正しくデータが同期されるかを確認するため、テストを行うことが推奨されます。
例えば、SmartHR側でテスト用の従業員情報を一件更新し、それが給与計算ソフト側に問題なく反映されるかを確認しましょう。

社労士 小栗の
アドバイス

最新の従業員情報が給与計算に反映されることは、社会保険料や源泉所得税の正確な計算に不可欠です。例えば、扶養家族の増減は所得税の源泉徴収額に直結しますし、通勤手当の変更は非課税限度額の判定に影響します。これらの情報が遅延なく、かつ正確に連携されることは、企業のコンプライアンス(法令遵守)体制の強化を意味します。誤った社会保険料を控除していた場合、遡及して差額を徴収・納付する手間が発生し、従業員への説明責任も生じます。システム連携による正確性の向上は、労務トラブルの未然防止にも役立つのです。

SmartHRと給与計算ソフトを連携する前に確認すべき注意点

SmartHRと給与計算ソフトの連携は非常に便利ですが、スムーズに導入するためには事前にいくつか確認しておくべき点があります。
例えば、システム間でどのデータ項目が連携できるのか、従業員データを紐づけるためのキーは何か、といった技術的な仕様の確認は不可欠です。
また、連携設定を行う担当者には適切な権限が付与されている必要もあります。
ここでは、連携を開始する前に必ずチェックしておきたい3つの注意点を解説します。
これらの点を事前に把握しておくことで、設定後のトラブルを防ぐことができます。

システム間で連携できるデータの項目を確認する

連携を開始する前に、SmartHRと給与計算ソフト間でどのデータ項目が同期の対象となるかを必ず確認してください。
氏名、住所、生年月日といった基本情報はもちろんのこと、社会保険情報、扶養家族情報、銀行口座情報、部署や役職といった所属情報など、連携できる範囲は利用する給与計算ソフトによって異なります。
自社の給与計算業務で必須となる項目が連携対象に含まれているか、事前に両システムの仕様書やヘルプページで照らし合わせておくことが重要です。
もし必要な項目が連携対象外である場合は、その項目のみ手動で更新するなどの運用を検討する必要があります。

従業員データが正しく紐づけられているかチェックする

システム連携において、SmartHRに登録されている従業員と、給与計算ソフトに登録されている従業員が、同一人物であることを正しく認識させる「紐づけ(マッピング)」作業は非常に重要です。
多くの場合、この紐づけには「従業員番号」や「社員コード」といった、各従業員に一意に割り振られたIDがキーとして使用されます。
そのため、連携前に両方のシステムで従業員番号が完全に一致しているかを確認する必要があります。
番号の不一致、重複、未入力などがあると、データが正しく連携されなかったり、別人の情報が更新されたりする原因となるため、事前にデータのクレンジングを行っておくべきです。

連携を解除する際の手順も事前に把握しておく

将来的に給与計算ソフトを変更する場合や、何らかの理由で連携を一時的に停止する必要が出てくる可能性も考慮し、連携を解除する際の手順も事前に確認しておきましょう。
連携設定と同様に、解除方法も利用するソフトによって異なります。
一般的には、給与計算ソフト側かSmartHR側のどちらかでAPI連携の設定を無効にしたり、発行したアクセストークンを削除したりすることで連携を解除できます。
解除後のデータがどのように扱われるのか、例えば片方のシステムで情報を更新しても他方には影響しなくなるのか、といった仕様も併せて把握しておくと、万が一の際にも慌てず冷静に対応できます。

まとめ

SmartHRと給与計算ソフトの連携は、従業員情報の二重入力をなくし、手作業による転記ミスを防ぐことで、人事労務業務の効率化と正確性の向上に大きく貢献します。
連携方法には、リアルタイムで自動同期が可能な「API連携」、手軽に設定できる「SmartHRPlusアプリ」、そして手動でデータを移行する「CSV連携」といった複数の選択肢があります。
自社の運用体制や使用しているソフトに合わせて最適な方法を選べます。
導入にあたっては、連携できるデータ項目の確認や、従業員データの紐づけ、そして将来的な連携解除の手順などを事前に把握しておくことが、スムーズな運用開始の鍵となります。

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